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国際社会経済研究所
Institute for International Socio-Economic Studies
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高齢化社会を垣間見る    2006年2月27日

国際社会経済研究所 アドバイザー 鈴木祥弘



昨年夏、急に歩行困難になり大学病院脳内科に二度目の緊急入院をした。その際に垣間見た高齢化社会の一端を御紹介しようと思う。

今回の入院では、大部屋に入院したので同室の患者の様子が何となくつかめた。大半は65歳以上の高齢者であり記憶等はしっかりしているが視覚、歩行能力、嚥下能力、発声能力等に急激な変化が起こり入院してきている。一応の検査をして治療方針が定まれば長くて1ヶ月、平均1週間で別の病院に転医をしている。共通して言えることは既往症(ガン等)が加齢等により変質したもののようにも思える。トイレ等は看護師の介添が必要とするので彼らは多忙をきわめる。病気が顕在化し、入院する迄は普通の生活をしているため、発病して変化した自身の身体能力についていけず、日常生活にも危険が一杯であるように思える。これら脳に起因する疾病はその回復に時間がかかるものが多く、完全に回復することは少ないと考えられる。また、何らかの後遺症が残ることも多い。


私の場合、小脳に病根が確認され歩行機能に問題が生じていると診断され、リハビリ中心の治療がよいという方針がだされた。そこで数年前に建設された高齢者医療センター(ベット数300~400)に転医した。そこは高齢者と銘打ってる通り65歳以上の患者が中心である。病院の建物も車椅子中心で生活、治療ができる環境になっている。診察室、検査室、エレベーター、ナースステーション、廊下、入浴施設等、大学病院と比べたらデラックスの一語に尽きる。5階以上には主に認知症の患者が入院していた。認知症は現在の医学水準では病状の進行は止められるが回復は無理だという。この病は加齢によって生じるので65歳以上では4人にひとりの割合でかかるらしい。5年〜10年先になっても認知症に対する根本的治療方法が見出せないとなると、高齢化が進む日本はどうなるのだろうかと心配にもなる。リハビリ室(理学療法と作業療法に分かれているが)には酸素吸入、点滴等を受けながらリハビリ訓練を受けている人が多い。リハビリは毎日毎日のトレーニングの集積が効果として現れる。急に改善されるものではない。ここでリハビリを集中的に行ってもなかなか日常生活ができるようにはならないので、ある程度回復の兆しが見えると退院させるようだ。入院中は転倒が怖いので介添えの支援がない限り自主的に行うことは認められないので自宅で止むを得ず運動するほうが機能低下を防ぐことができるという面もある。大学病院でもここでもリハビリ室には実習生が目立つ。リハビリ専門職を養成する専門学校、大学が増えている証拠である。高齢化社会に対応したものであるが私の見る限りリハビリに学問的体系があるのだろうか。未だこの分野は試行錯誤の分野と思える。


退院に備えて家の中はバリアフリー工事をした。後でわかったことだがこの種の工事も介護保険でカバーされるという。家でリハビリをする為、民間ケアセンター所属のケアマネージャーに相談もした。今回の件で介護保険の仕組みも初めて知ったのだが、ケアマネージャーとの面接により病状に応じた介護の必要程度を判定してくれる。介護保険制度が発足して5年目にもなろうとしているが、この制度は主観に頼るところもあるようである。制度として完全ではないが、介護を必要としている人々にとっては非常に助かる。自宅での回復には、自主自立の精神が必要であるが、家の中は必然的に行動が伴うことで筋力が増すことが可能である。さすがに、アウトドアでは肉体的にしっかりしてないと気持ちだけでは無理もある。移動は車椅子とか介護人がいないと難しくリスクも大きい。一旦、車椅子生活に慣れると筋力はまたたくまに落ちる。高齢者は特にそうだ。介護のツール(杖、歩行器、車椅子、ベットなど)は介護保険給付の対象になっているが、実際に給付されるものは介護のグレードによって異なる。この度の法改正によれば、今後は予防にウエイトが置かれるようになるので自立促進に役立つものは貸し出しの対象になるが、身体が楽になるようなツールやサービスを受けるのは難しくなってきている。しかしこれらの判断はケアセンター所属のケアマネージャーの判断に任せざるを得ないので甘くなる傾向は否定できない。また家庭内介護の場合、老妻に依存せざるをえない。老人介護は介護する側に負担がかかり長期にわたるとストレスからうつ病になる可能性が高い。脳と心のかかる分野は医学もこれからの分野であり治療に決め手を欠く。

今世紀、日本は長寿高齢化社会、超少子化に対応したシステムはまだ構築されていない。この分野はある程度大きな政府に頼らざるをえない。といっても野放図に大きな政府政策になることは許されない。そこで医療介護分野だけで捉えずに薬剤、医療機器等の関連分野を含めた医療サービス事業分野として捉えて国際競争力をつける方向で考えるべきである。

第二のポイントは会社(企業)中心のシステムから地域社会全体のシステムに変えることである。例えば退職後、会社健保を脱退し国民健保に切り替えなければならない。診察場所も会社診療所から地域社会の医療機関への変更の必要があるが地域社会については知識がない。これではいざという時に困ってしまうだろう。

第三は医学領域の問題であるが脳と心の分野における医療技術の向上である。こちらもまだまだ未開拓の分野であるとように思われるが、超高齢社会をひた走る我が国にとって重要な分野になろう。

以上


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