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日本企業の持続可能な経営に関する調査研究

2016年4月~2017年3月

【執筆・担当者】
遠藤 直見(国際社会経済研究所 主幹研究員)

 2008年9月に発生したリーマンショックを契機に、企業経営に対する株主・投資家を始めとするステークホルダーの認識に変化が現れている。それまでの過度の金融資本主義への反省が促されるなど、企業を取り巻く経営環境が大きく変化しており、新たな企業経営のあり方が問われている。それに伴い、企業の社会的責任(CSR)に対する捉え方も変化している。キーワードは「サステナビリティ(持続可能性)」である。

 本報告書では、先ず第1部で、「企業の社会的責任」のベースラインは踏まえつつ、サステナブルな価値創造をより重視する方向へと進化を遂げるグローバルなCSRの潮流とステークホルダーの動向について、消費者・市民社会、投資家および政府などの関心の変化や最近の取り組みを概観することで探っていく。

 日本企業は、このようなステークホルダー(特に、投資家と政府)の動向およびその背景にあるものを適確に把握し、「企業の社会的責任」のベースラインは踏まえつつ、社会と自社のサステナブルな成長と中長期の価値創造においてインパクトの大きい経営課題(マテリアリティ)に戦略的に取り組む「持続的な価値創造型企業」へと経営を進化させていくことが求められている。そのような経営を「サステナブルな価値創造経営」と呼ぶ。

 第2部では、「サステナブルな価値創造経営」の要件についての調査・研究成果を日本企業への提言として報告する。「サステナブルな価値創造経営」の要諦は、長期的視点に立ち、事業環境変化に柔軟に対応しつつも、経営の軸がぶれない、すべてのステークホルダーに配慮した持続的に成長可能なビジネスモデルの構築にある。そのための要件を以下の6つに整理し、「サステナブルな価値創造経営モデル」として提言する。

  • ① 企業理念とメガトレンド分析に基づく「長期ビジョン」の策定
  • ② サステナビリティ重視のコーポレートガバナンス確立
  • ③ サステナブル経営戦略の策定(マテリアリティ、資本、ESG統合型中計など)
  • ④ 戦略の実行(事業戦略のPDCA管理、リスクマネジメントなど)
  • ⑤ 情報開示(価値創造ストーリーとパフォーマンス報告など)
  • ⑥ ステークホルダーとの対話と協働(ステークホルダー・エンゲージメント)

 ステークホルダー・エンゲージメントは、株主・投資家、お客様、従業員、NPO/NGOなど幅広いステークホルダーの声(期待、要請など)を経営に取り入れるための重要なコミュニケーション・ツールであり、①~⑤のすべてで活用される。

 日本企業は、本モデルを参考に「サステナブルな価値創造経営」に取り組み、持続的な成長と中長期の企業価値向上を目指すことが期待される。

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