財団法人NEC C&C財団セミナー「さらなる地域情報化を目指して」
NEC C&C財団セミナー「さらなる情報化を目指して」に財団法人社会経済生産性本部情報化推進国民会議、多摩大学情報社会学研究所と共に弊社も協力いたしました。会場となった国際文化会館講堂には約50名の参加者にお集まりいただきました。
NEC C&C財団後閑専務理事からの開会の挨拶の後、前川徹サイバー大学教授より「ITの活用により全ての国民が恩恵を享受できる社会を目指して〜国民識別番号制度 「JAPAN−ID」の早期創設〜」のご講演をいただきました。前川教授は、財団法人社会経済生産性本部情報化国民会議における特別委員会主査も務められており、2007年6月に情報化国民会議より提言された内容を中心に、ITを真に有効なツールとして活用し、公平・公正・効率的な社会を構築していくために、わが国においてもすべての国民ならびに居住するすべての外国人に共通のID(識別子)=JAPAN IDを付番する制度を創設すべきであり、この制度の安全な運用を担保するための機関「JAPAN ID安全センター」の設立が急務であると訴えられました。
続いて、2007年度のNEC C&C財団調査研究委託事業から国内事例、海外事例の報告がされました。国内事例は、杉井鏡生ハイパーネットワーク社会研究所共同研究員から「新しい地域情報化システムの展望」。大分県、佐賀県、京都府という先進自治体の事例から電子自治体推進のためには、基本戦略と推進体制の構築、業務の効率化とITガバナンスの確立、電子行政サービスの利用向上、市民参画と協働の促進の4つの観点が重要であるとの提言をいただきました。
海外事例は、小泉雄介NEC総研調査グループ専任研究員、吉田絵里香 NEC総研調査グループ研究員より「住民データベースを活用した電子政府のあり方−オーストリア・エストニア・ドイツ」。プライバシーに配慮しながらも、効率的にデータベースを利用するための方策としてオーストリアのソースPINという番号を利用したデータ交換の方法が紹介されました。また、エストニアにおけるエストニア・カードによるワンストップサービスや、日本と歴史的な背景が似ているドイツでのデータベース構築の進捗などが報告されました。
最後に、原田泉弊社主席研究員、遊間和子弊社主任研究員より「さらなる地域情報化をめざして」と題した提言が報告されました。国内、海外の先進事例から、さらなる地域情報化を進めるためには、@全体最適を考えた電子自治体の構築、Aワンストップサービスによる利便性の向上、B安心で安全な公的個人認証制度の整備の3つのポイントが挙げられました。すでに、技術的な面では十分であることから、電子自治体の構築には、組織的、社会的な観点での全体最適が必要であるとし、リーダシップや自治体側に全体がわかる人材を育成することが重要であるとの指摘がされました。また、住民の安心を醸成するために、自治体職員がデータベースを閲覧する際には、その職員がどのデータにアクセスできるかを制限したアクセスコントロールと履歴を管理するアクセスログがきちんと整備され、住民側からも、自分のデータに関してのアクセスログを閲覧できるという仕組みの透明化の重要性もあげられました。電子的なIDによる公的個人認証についても、銀行、携帯電話会社など公的な色彩の強い業種においては、積極的に導入することが安全、安心につながる。現在、年金問題等により社会保障カードの導入が言われているが、プライバシーに配慮しつつも、利用しやすいシステム作りのために、住基カードをベースに検討する必要性が提言され、セミナーを終了いたしました。
奇しくも、セミナー当日は、住民基本台帳ネットワークは違憲であるとの訴訟に対して、最高裁が合憲判決を下しました。法的な問題をクリアにしたことで、今後は、このようなシステムをいかに活用していくかという点で地域情報化を考えられるようになることは、新たな一歩になると思われます。

▲ 挨拶する後閑博史NEC C&C財団専務理事

▲ ご講演する前川徹サイバー大学教授

▲ 満席の会場
■スピーカーとプログラム:
13:30 ご挨拶 財団法人NEC C&C財団専務理事 後閑博史
13:35 「ITの活用により全ての国民が恩恵を享受できる社会を目指して〜国民識別番号制度 『JAPAN−ID』の早期創設〜」
前川 徹 (財)社会経済生産性本部情報化国民会議特別委員会主査/サイバー大学教授
14:30 国内事例「新しい地域情報化システムの展望」
杉井鏡生 ハイパーネットワーク社会研究所共同研究員
15:25 休憩
15:45 海外事例「住民データべースを活用した電子政府のあり方−オーストリア・エストニア・ドイツ」
小泉雄介 NEC総研調査グループ専任研究員
吉田絵里香 NEC総研調査グループ研究員
16:40 提言「さらなる地域情報化のために」
原田 泉 国際社会経済研究所主席研究員
遊間和子 国際社会経済研究所主任研究員
17:00 閉会
