日中関係を憂いて思うこと 2010年12月1日

中国現代国際関係研究院(以降は現代院)と国際社会経済研究所との共同研究10周年を記念して、中国北京で国際シンポジウムを開催した。崔現代院院長、楊副院長をはじめ、関係省庁の方々もご出席を頂き、気の引き締まる思いであった。共同研究のテーマは「情報社会の問題点と展望」であり、現代院と当研究所の双方から研究テーマ毎に発表を行い、意見の交換を行った。尖閣諸島の問題がホットな中での開催となったが、双方とも真摯な意見交換を行うことができた。10周年という一区切りを迎えたが、共同研究では双方とも成果を認め合い今後も継続することにした。
▲10周年を記念して現代院から頂いた「石画」
シンポジウムの前夜には歓迎の晩餐会にお招き頂き、当日は答礼の晩餐会を開催した。この場でも尖閣諸島の問題について意見交換が行われた。中国側は日本の一般的な国民がどう考えているかに大変な興味を持っているようであった。双方とも、今や両国が相互に深い関係を持ち、今回の尖閣諸島問題を発端に関係が悪化するようなことが無いようにするべきとの認識であった。自民党時代には数十年かけて日中のパイプが形成されてきたが、民主党政権に代わりそのパイプが途切れてしまったことが事態を大きくしてしまった原因とも考えられる。日本国民は政権交代を望んだが、国際関係の悪化は望んでおらず、外交
の継続性を十分考慮した対応が必要であろう。
国民は自民党政権の閉塞感から民主党政権への交代を選択した。しかし、最近は政権交代の期待が裏切られているように感じている人が増えているのではないか。事業仕分けは国民に見える化をしたことで、大きな成果と言える。しかし、第二段の状況を見ると、政治主導で実行すると言ってきたことがほとんど戯言に写ってならない。本当に政治主導であるならば、官の優秀な頭脳集団の力を発揮してもらう方向に結びつけるべきである。
現場を知らず頭だけでものを考えるブレーンだけでは、到底政治主導を現実のものとすることはできない。企業経営でも現場を知らずして改革は成功しないことは、経営者の共通認識である。また、政治主導と言うならば、政治家がブレーンを養い賢くならなければならない。ところが、現在は政治家の歳費が多いとか、議員会館の部屋が広いとか、全く方向が違う話が飛び交っている。日本の政治を預かるのであれば、国会議員が政治に専念できるように歳費を十分とり、お金の心配をしなくても良いようにすべきである。事務所運営のために裏で金儲けをするような事態は避けるべきである。日本は個人献金、個人支援等がなじまないので、国民全員で支える制度を充実させるといった方策も必要であろう。TV、マスコミも日本の将来を見据えた取り扱いをすべきであり、最近の三文週刊誌的な話の垂れ流しは誠にうんざりである。
財源の目処が無い中での高速道路無料化は大変無謀な公約であり、「国民全員が望んでいる」とは思えない。諸外国と比べて高速料金が高いというのは確かであり、順次低料金化、遠距離割引の強化等で対応して行くべきである。ETCを完全普及させて、ICTを活用すればどんな料金割引にも容易に対応できる。高速道路を利用する人達から料金を徴収するのは、国民の誰一人として反対していない。無料化を補う財源が消費税のアップとなれば、高速道路を利用しない国民は決して納得しない。日本のETCは高額なゲートを設置しているがこれも無駄である。オーストラリアでは高速道路の頭上にETCの読み取り機が設置されており、自動車は通常のスピードでそこを通過するだけで良い。日本のような複雑なETCゲートは無いのである。国会議員の先生方はこのような海外の現場を自らの目で見て欲しい。