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量子脳理論と魂の存在

主幹研究員 加藤竹彦

量子脳理論という理論があることを知った。ウィキペディアでは「脳の振る舞いに系の持つ量子力学的な性質が本質的な形で関わっている」とある。大変難解であるが、この理論によれば死後の魂やテレパシーの存在を説明できるのかもしれない。
 
量子脳理論を代表する人物にロジャー・ペンローズという数理・物理学者がいる。あのスティーヴン・ホーキングと共に、ブラックホールの特異点定理を証明し、「事象の地平線」の存在を唱えた宇宙物理学の世界的権威である。彼の著書「皇帝の新しい心」で、脳内の情報処理には量子力学が深く関わっているというアイデア・仮説を提示している。
 
意識とか思考といった活動がどういう仕組みでなされるのか。多くの神経生物学者の仮説は、意識を生じさせる因子は分子レベルではなく、ひとつの細胞もしくは複数の細胞における神経伝達物質の放出や活動電位の発生といった 神経レベルで存在している、とされている。これに対してペンローズの理論では、意識はニューロンを単位として生じてくるのではなく、微小管と呼ばれる、量子過程が起こりやすい構造から生じるという。微小管とは、すべての細胞が持つ、タンパク質からなる直径約 25ナノメートル の管状の構造をした細胞骨格である。そしてまた難しいのだが、脳内の神経細胞にある微小管で、波動関数が収縮すると、意識の元となる基本的で単純な未知の属性も同時に組み合わさり、生物の高レベルな意識が生起する、というのである。
 
ところで、量子力学においては、対になった2つの粒子が、空間的に離れているにも関わらず強い相関(スピンなどの量子状態が独立に記述できない)を示す現象がある。「量子もつれ」と呼ばれるこの現象を応用すると、量子テレポーテーションという、1量子ビット分の情報を瞬時に転送することができる。
 
もうひとつ、気になる現象がある。量子力学の状態は、いくつかの異なる状態の重ね合わせで表現される。このことを、どちらの状態であるとも言及できず、観測すると観測値に対応する状態に変化すると解釈する。これをコペンハーゲン解釈と呼ぶが、別な解釈として、観測する人間の意思が量子の状態を決める、あるいはその空間を支配している何かの意思によって決まる、という見方もある。物事が、人の意思あるいは神の意思によって決まる瞬間ということなのか。
 
意識とか意思、あるいは魂や心とはどういうものなのか、私にはわからない。でも、いずれにしても「思い」という言葉に通じている気がする。思う力が物体を離れ、時空を超え、消えることなく、別の誰か(何か)に伝わっていく、そんな「想い」にかられてしまった。
 
ペンローズは臨死体験との関連性について次のように推測している。「脳で生まれる意識は宇宙世界で生まれる素粒子より小さい物質であり、重力・空間・時間にとわれない性質を持つため、通常は脳に納まっているが、体験者の心臓が止まると、意識は脳から出て拡散する。そこで体験者が蘇生した場合、意識は脳に戻り、体験者が蘇生しなければ意識情報は宇宙に在り続けるか、あるいは別の生命体と結び付いて生まれ変わるのかもしれない。」

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