ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. Home
  2. コラム
  3. 旧雨今雨
  4. 不可説不可逆転
ここから本文です。

不可説不可逆転

 グーグル(google)社の名の由来は、創業者ラリー・ペイジ氏が、開発した検索エンジンの名前を考え、ドメイン名として登録した際に「グーゴル」(googol.com)をグーグル(google.com)と綴りまちがえたのがその起源と言われている。グーゴルとは、1920年、米国の数学者エドワード・カスナーの当時9歳の甥ミルトン・シロッタによって作られた数字の単位で、1グーゴルは10の100乗を指す。

 1ゴーグル(10の100乗)は、観測可能な宇宙の全原子数(10の79乗から10の81乗と推定)や、ビッグバンから今までの時間をプランク時間単位で表した数(8×10の60乗と推定)よりも大きい数字だ。数学で巨大数を扱う機会は対数などでままあるが、それを物理的概念に置き換えるとその大きさに改めて驚かされる。

 子供の頃、例えば「1兆なんかよりうーんと大きい数」のように夢想することはなかっただろうか。それはいにしえの人も同じように考えたに違いない。事実、途方もなく大きな数字を表す「命数」が存在する。兆という漢字は、数詞を用いて数を表す命数のうち、中国に由来する漢数字である。兆より大きな命数には、0が1つずつ増えるに従い京、垓…と14個も続く。その最大は「無量大数」という漢数字で10の68乗を意味する。

 仏典における数詞はこれよりさらに大きな数を表せる。倶胝(10の7乗)を最小にその二乗、二乗と進んで122番目に最後に不可説不可逆転に至る。実に10の37218383881977644441306597687849648128乗である。もはや認識不可能な数字であり、仏典でも事実上の無限に相当する。

 世界には他にも様々な大数が存在する。センティリオンは北米では10の303乗、欧州では10の600乗を意味する。第一スキューズ数は10の10の10の34乗乗乗、第二スキューズ数は10の10の10の964乗乗乗となる。

 冒頭のミルトン・シロッタはその後、1の後に疲れるまで0を書いた数としてグーゴルプレックスという単位を提案した。グーゴルプレックスとは10の1ゴーグル乗、すなわち10の10の100乗乗 となる。これは不可説不可逆転よりも大きく、途方もない数字だ。1ゴーグルプレックスに匹敵する物理量は、ある論文によればアンドロメダ銀河ほどの質量のブラックホールの状態量程度だそうである。1ゴーグルプレックスを1秒に2文字の数字を書ける人がこの数をまともに書き下すとすると、宇宙の年齢の倍の時間が必要となる。

 グーグル社の本社社屋は「Googleplex」の愛称を持つが、これもグーゴルプレックス(googolplex)にちなんだものである、グーグル社の未来はどうか。

主幹研究員 加藤竹彦

このページの先頭に戻る