C&C振興財団委託調査報告書
「ユビキタス都市I:ユビキタス社会におけるIT国家戦略」
【執筆・担当者】
土屋大洋 (国際大学GLOCOM 客員研究員/慶応義塾大学大学院 助教授)
上村圭介 (国際大学GLOCOM 主任研究員)
原田泉 (国際社会経済研究所 主席研究員)
遊間和子(国際社会経済研究所専任研究員)
現在は、産業社会から知識社会への移行の始まりの時期であり、日本の今後の発展への国家戦略を考える場合、如何にこの移行に先んじるかが鍵となる。その移行を促すものがIT革命であり情報化であるが、既に米国は、ヤングレポート(1985年)で知識社会への移行へ向かう政策をとり、また、90年代平和の配当によって米国は、IT革命・情報化の先頭に立った。シリコンバレーは、そうした産業社会の最終段階の象徴であり、創造階層を生み出した。しかし、21世紀になると産業社会のエンジンはBRICsへ移行し始め、米国の産業界のあせりとして「イノベート・アメリカ」で、更なる人材育成、すなわち知識社会を担う創造階層の創成を強調した。そして知識社会への移行の中心的産業は、クリエイティブ産業(従来のコンテンツ産業、文化産業、著作権産業、また産業面での技術革新も含んだ広い産業)が担い、クリエイティブ産業は、都市(クリエイティブ・シティ)が担うのである。チャールズ・ランドリー『創造都市(Creative
City)』(2000年)、リチャード・フロリダ『創造階層の勃興(The Rise of Creative Class)』(2002年)などが議論するように、サービス、知識・情報・感覚を介した活動は、「創造性」が鍵となり、「創造的環境(creative
milieu)」をいかに創出し、「創造階層」とも呼ばれる増大する職種、ライフスタイル、嗜好性をもった人々の活動を誘発するかが課題となると考えることができる。本報告書では、ニュージーランドのウエリントン、米国のシリコンバレー、韓国のソウルのDMC、釜山等を分析することで、日本の今後とるべき国家戦略は、クリエイティブ・シティーを創造・育成と結論づけた。
