中堅・中小企業におけるIT装備
-生産性向上、IoT、経営承継の視点から見た課題と対応-
特別研究主幹 丸山 進
1.はじめに
日本経済が成長軌道を取り戻し、今後とも雇用を創出していくためには、地域経済を支え、雇用の7割以上を担う中堅・中小企業が競争力を高め、活性化していくことが不可欠である。特に、最先端の事業分野で海外の企業と競う大企業に欠かせない中間財を供給する企業や、地域の産業の取引の中心を担い、域外の所得を獲得する役割を果たしている企業など、今後の日本経済を支える重要性を持つ企業を中心に、中堅・中小企業がその力を磨くことが戦略的に重要性を増している。
一方で、日本企業の生産性の低さは従来から問題提起されながら、その解決に至らない構造的とも言える課題になっており、特に、中小企業を中心に、経営者の高齢化など取り巻く環境は一層難しくなっているとも言える。また、雇用を多く抱えるサービス産業において、その問題は顕著に現れている。
こうした課題に対する最も効果的で広範に適応可能な処方箋として、従来からITの利活用が掲げられ、徐々にそうした方向に進みつつあるが、日本経済の課題克服に必要なスピード感が足りているとはおよそ言えない状況だろう。
そうした中で、経済や産業、さらには個人の生活すら劇的に変化させかねない技術的革新が生み出されつつある。IoT(Internet of Things)と呼ばれる「インフラ」が遠からず経済、社会を覆う時代が到来しようとしている。すべての機器やシステムがコンピュータネットワークに繋がれ、そこで得られた大量の情報がAIによって分析され、新たな価値を生み、次の産業や社会活動の流れを作り出していく。企業のみならず、家庭もその動きの中に組み込まれることになる。
この新たな世界で、IT装備は企業活動の前提となることは言うまでもないだろう。言わば企業の「生存条件」だ。日本企業、中でも中小企業の変化に重い動きが続く傍で、技術革新の流れ、経済や社会の構造変化ははるかに速く現実になりつつある。この機会を将来を危うくする「危機」にしてしまうのか、企業をステップアップさせる「好機」に変えるかは、まさに経営者の判断であり、真価が問われるところだ。あわせて、経営者の前向きな判断や行動を支える環境の整備や仕組みが作られることも不可欠である。
本稿では、以上のような状況認識の下に、この課題に関わる様々なプレーヤーが取り組むべき方向性や対応について整理し、提示することを試みたい。
2.日本企業の現状と課題
- (1) 日本企業群の構造
日本の産業を担う企業は、全体で382万社存在しているが、このうち、中小企業基本法で定義される中小企業が381万社を数え、大企業は1万社余りに過ぎない。また、中小企業のうち、特に従業員数が少ない小規模事業者は8割を超える325万社に上る[1]。
これを雇用面で俯瞰すると、大企業の従業員数は全体の1/4、中小企業が3/4を担っており、中小企業の業績が上向くことが日本経済全体を浮揚させるのに欠かせないことが容易に理解できよう。
一方で、中小企業の定義に含まれる多数の事業体の実態は文字通り千差万別であり、今後の処方箋も一様ではない。小規模事業者は地域の生活に密着し働く場を提供する存在であり、そこに大きな重要性と事業を継続するのにさえ特有の難しさがある。その他の中小企業、言わば中規模の中小企業56万社は小規模に近いものから大企業に発展していくものまで、一律に特徴づけすることは困難だ。さらに、中小企業の定義を超えながらも、それらに比較的近い中堅企業も存在している。法的な定義上は大企業であるが、だれもが名を知る大手企業のような知名度はないものの、例えば、ニッチなマーケットで高いシェアや競争力を誇っていたり、ある産業分野で欠かせない中間財のサプライヤーであったり、など独自の存在感を持つものもある。
こうした中堅企業と中規模中小企業、50数万社のうちには、今後の日本経済を支える役割を果たし得る企業が存在していると捉えることができる。その実態は政府の情報収集や民間の調査によっても詳らかではなく、また、そうした役割を担うのは一部の企業になるだろうが、その生産性を高めることが今後の日本経済にとって極めて重要な意味を持つ企業群が相当数存在することを認識することが重要である(例えば数千から数万社の企業を想定したとして、実態から大きく外れていないのではないだろうか)。
このような企業群を始めとして、IT装備の必要性はどのような規模の企業にも広範に当てはまる課題であり、日本経済の成長基盤を強化していく上で欠かせない取組みであることを念頭に置く必要がある。
- (2)日本企業の生産性
日本社会が人口減少の現実のトレンドに入り、労働力の供給面で日本経済の制約が明らかになっている中で、今後の日本経済がこれを克服して付加価値を高めていくためには、設備投資の増強や技術開発の強化を通じて日本企業が労働者一人当たりの生産性を向上させていくことが喫緊の課題になっている。しかしながら、日本経済の生産性は引き続き低い水準にとどまっており、特にサービス分野ではそうした傾向が顕著に認められる傾向にある[2]。
また、大企業に比べて、中小企業の生産性が大きく下回っていることも長期間にわたり続いている問題であり[3]、主たるサービス分野である卸・小売業や飲食・宿泊業、建設業、運輸業などが中小企業によって担われている実態と符合していると言える。これらの分野は雇用の大きな担い手でもあることに鑑みれば、こうした分野を含め、日本企業の労働生産性を向上させていくことが、今後日本経済が再生し、産業が高い競争力を回復していくために極めて重要な要素となっている。
- (3)企業活動の基盤的ツールとしてのIT
労働生産性の向上を実現するには、新たな商品・サービスの創出や需要の開拓等により収益を増加させるとともに、生産や流通のコストを低減する取組みが不可欠であることは言うまでもない。そのための手法には様々な取組みがあり得るが、ITの活用が収益、コストの両面で有効なツールとなることは、既に少なくない企業の実例によって示されているところである[4]。 例えば、海外市場を含めたネットでの販路の開拓や会計・給与など間接部門への管理システム導入による効率化などが、そうした一例になろう。
一方、IT投資はこのような比較的わかりやすい効果を生むにもかかわらず、依然として多くの企業において採用されていない現実が存在している[5]。 IT投資のための資金の調達やITについての技術的知識を持つ人材を欠いていることなど、いくつかの原因は挙げられようが、中堅・中小企業向けに多様なシステムがパッケージ化されて商品化されており、必ずしも多額の負担を要しないような投資が可能となっている現状を踏まえれば、IT投資の広がりを妨げている大きな要因は、経営者の意識に求めることができるのではないか。企業が自己変革を通じて生産性を絶えず向上させていく取組みは、事業を起こし、成長を求めていく企業家精神と同根のものであり、その弱さが指摘されて久しい日本には、この問題克服の難しさが存在している。
しかしいま、こうした状況に大きな環境変化が生じつつあることを考慮しなければならない。IoTが産業・社会の「インフラ」として実装される時代が目前に迫っていることである。あらゆるモノがネットに繋がれ、企業はもちろん、個人や家庭も含めて、広大なネットワーク空間の中で膨大な情報がやりとりされる。その情報が分析され価値を生じ、新たなビジネスや活動を生んでいくことになろう。企業はこの空間に繋がらなければ、「存在していない」ことになりかねない。そこに参加するには、必然的に一定のIT装備が前提となるだろう。企業間の受発注システムやそれに対応する財務会計の管理システムなどが求められることになる。また、企業がネットで繋がった時にすべての参加者がセキュリティを確保しなければならないのは当然だ。「セキュリティホール」と見做されれば、取引の対象となり得ないだろう。言わば、ITを装備できない企業は、存続自体が困難になるおそれすら生じかねない、新たな世界が到来しつつある。これは規模の大小に関わらず、あらゆる企業において対応を問われることとなると言っても過言ではないだろう。
日本企業の特徴の一つとして、危機に対する反応の機敏さや対応の柔軟性が挙げられる。こうした特徴は、過去も、オイルショックや東日本大震災などの重大な危機的局面を乗り切る力として発揮されてきた。今後のIT装備は、生産性を向上させる企業努力として取り組まれるのみならず、IoT時代の到来というパラダイム転換への危機対応、生存条件の獲得という認識で実行されていかなければならない。必要なのは、経営者の危機意識であり、それを醸成していくさらなる環境整備である。
- (4)経営承継を巡る課題
日本の中小企業にとってもう一つの大きな課題は、如何に跡継ぎを見つけ、円滑に事業を引き継いでいくか、という「経営承継」の問題である。中小企業経営者の年齢構成を見ると、年々高齢化が進み、現在は66歳をピークとしており、65歳以上の経営者は実に4割近くに達している[6]。 若手経営者に経営承継した企業はより積極的にリスクを取り、利益を上げているとの調査もあり、環境変化を敏感に捉えたスピード感のある経営が生む効果は明らかである。
この現状をより切迫感を持って受け止める必要があるのは、倒産件数がこの数年連続して減少傾向を示す一方で、中小企業の廃業や解散が25,000件を超える高い水準で推移している事態との関係である[7]。最新のデータによれば、2016年には倒産件数がさらに減少する一方、30,000件近くが解散等に至り、過去最高の件数に達している[8]。自ら事業に見切りをつける経営者もいる一方で、事業継続の可能性がありながら、後継者を得られないまま、廃業や解散に追い込まれるケースも多いことが推測される。いずれにしても、事業が生きている早期の段階から、計画的に経営を譲る準備を行うことが極めて重要になっている。
さらに、別の調査によれば、廃業を予定する時期の経営者の年齢は71歳とされており[9]、 65歳以上の層が約4割であることを踏まえれば、これから5年程度の期間が、経営承継の円滑な実現を集中的に図らなければならない「橋渡し」の期間にあたることになる。仮にこの期間に後継者難から廃業等が相次ぐことになれば、日本経済を支える基盤が失われることになりかねない。
他方、この危機的な状況を日本企業の新陳代謝の契機と捉えることもできる。若手経営者への積極的な代替わりが、日本経済をチャレンジングな姿勢に変える可能性を有している。若手経営者の企業が利益を増やす傾向にあることは、重要な指標を示している[10]。 経営者を替えるのは経営者自らの判断しかないが、行政においても、税制の整備や後継者候補への仲介機能など、一層の環境整備に取り組むことが不可欠となっている。
後継を担う若手経営者が様々な環境変化に対応した経営を行っていく上で、効率的な事業運営や新分野への進出等にIT投資が不可欠であることは言うまでもない。加えて、IoTが企業にとって当然の前提となる世界では、必要なIT装備を行うことは生き残っていく手段となる。世代交代の山場となる次の5年は、若返った後継者を通じてIT装備を一気に進め、日本経済を次のステージへ進める好機となり得る。日本経済のピンチをチャンスに変える節目の5年と捉えた取組みが、中小企業経営者はもとより、IT事業の関係者にも、行政にも求められている。
3.中堅・中小企業向けITビジネス
中堅・中小企業がIT機器やシステムを導入するに当たっては、社内に専門的な人材を欠いていることも少なくないことから、そうした技術力やノウハウを提供する様々な企業を通じて、ITの装備が進められている。例えば、元来コピー機メーカーであった企業が、複合機化に伴って得た技術力や、コピー機販売の歴史に基づく営業力や顧客ネットワークを基礎に、主要なサプライヤーの地位を築いている。また、パソコンなどの機器や情報システムを製造するメーカーも従来から有する販売網を使って、このマーケットにおいて存在感を示している。
他方、これらのメーカー勢に対して、対中堅・中小企業ビジネスで大きな勢力になっているのは、より小回りの利く、かつ強力な営業部隊を武器とするパッケージベンダーである。専門性が乏しい中小企業の実情を押えた戦略を採り、各種のパッケージ化された簡便なシステムを準備し低廉な固定価格で提供することや、ユーザー企業のどんな課題にも応えるマーケティング手法で、大きく業績を伸ばしている。そこでは、技術の採用を勧めるのではなく、課題解決を提案するソリューションビジネスが実行されている、と言っていいだろう。
これらの企業は、中堅・中小企業マーケットは展開に時間と労力を要する反面、一旦信頼関係を築きビジネスが始まれば、安定的に収益が生まれるフィールドであることを十分に認識して行動している。現にリーマンショックの時ですら、大企業がIT投資を大幅に減らす中で、中小企業向けの売上は落ちなかったと言うベンダーも存在しており、比較的少額のIT投資を行う多数に上る企業をサポートしている構造が、安定的なビジネスに寄与していることが伺われる。
今後、IT装備の必要性が高まる中で、この分野を戦略的に位置付け、「手はかかるが着実に儲かるビジネス」に仕立て上げていけるのは、どの企業か。メーカーにせよ、ベンダーにせよ、明快な経営方針と中堅・中小企業に特有の環境を捉えたマーケティング力が、「勝ち組」を決定していくことになろう。
4.IT装備を加速するための取組み
中堅・中小企業のIT装備を進めていくためには、言うまでもなく、その主体である企業自身が具体的な取組みを進めることが基本であるが、これらの企業が置かれている状況やこれまでの動きを考えると、中堅・中小企業の自主的な努力に任せるのではなく、このビジネスのパートナーとなるIT企業のさらなる取組みによって、ITの活用を進める企業の裾野を大幅に広げていくことが期待される。
また、ITビジネスの直接の主体ではないが、中堅・中小企業の経営全般をサポートし、その事業の成功を実現する伴走者としての役割を担う金融機関が果たせる機能にも非常に大きなものがあるだろう。
さらには、いまこの課題に取り組むことが求められているという「危機感」の醸成や、中堅・中小企業経営者の意識改革、あるいは直接的な支援措置の実施など、これまでの緩慢な動きを加速化するべく、行政が環境整備を進めていくことが必要となっている。
- (1)中堅・中小企業の主体的な取組み
IoT時代の到来を目前にして、中堅・中小企業にとって、ITの導入を進めていくことは、事業上の工夫の一つといった範疇を超え、経営の成否を決め、企業の将来性を左右する影響を有している。まさに経営者の判断が問われる課題であり、こうした認識のもとに具体的な行動を早急に起こすことが必要になっている。規模の大小によらず、どんな企業においても判断を保留することなく、危機感を持った対応が求められる。特に、高齢の経営者からの世代交代がいずれ必要となる企業においては、計画的な経営承継の準備と併せて、IT化による経営の刷新、事業の革新を実行していくことが非常に重要になっている。
- (2)IT企業の市場開拓努力
極めて多数の中堅・中小企業を顧客とするこの分野は、IT企業にとって、きめ細かい営業力や継続的なサポート体制を必要としており、当然に、海外での大規模プロジェクトへの参画や大企業を顧客とする最先端のITシステムの導入などとは大きく異なる手法が求められることとなる。そうした条件を得意とするか否か、どこを主戦場として次の事業展開をするか、それぞれのIT企業の経営方針に依ることになるのは言うまでもない。(自社を取り巻く経営環境や有する資源から、選択と集中の結果、こうした分野を自社のフィールドとしないことも経営判断である。)
一方、中堅・中小企業向けのITビジネスは、継続的な課題解決を内容とする「ソリューションビジネス」という性格を有している。ITの技術革新もハイスピードで行われることから、ユーザー側の課題も常に解決と発生を繰り返すことになる。個別には小規模の案件であっても、多数を顧客に件数が積み重なることにより、安定的、継続的に利益が生み出される潜在性のある分野だと捉えることができるだろう。
IT企業にとって戦略的な分野のひとつになり得る可能性を有するこのマーケットについて、そうした位置付けを行う企業は、特に今後数年間の集中的な展開を視野に置いて、マーケットの性格を捉えたサービス内容の見直し、マーケティング手法の再検討、そのために必要な体制の構築等を図ることが不可欠である。
- (3)金融機関によるサポート
中堅・中小企業の最大の支援者、伴走者は金融機関であり、IT装備を早急に進めていくためにも、その役割は極めて大きなものがある。現在、金融機関には、従来型の担保や保証に過度に依存せず、事業の将来性を評価して融資を実行する、いわゆる「事業性融資」が求められているが[11]、 IoTが普及する事業環境の中では、融資先がITを導入し、それをどう活かしていくのか、この点の理解なしに事業の先を見通すことは困難である。
むしろ、金融機関自身が融資先の将来性を上げ、事業を成功に導く観点から、積極的にITの導入を促す姿勢が必要である。そのためには、中堅・中小企業にソリューションビジネスを展開するIT企業との連携などにより、動きを加速させていくことが求められる。金融機関の判断や働きかけは最も直接的に融資先企業を動かす誘因であり、広く危機意識を醸成し、金融機関が支える地域全体での動きを作り出していくことが可能となる。
一部の金融機関では、事業性融資の動きに積極的に乗り出しており、まずはこうした先進的な金融機関において、融資先のIT導入促進に向けた取組みが実行されることが期待される。IT企業の側においても、新たなマーケティングの方策として、金融機関との連携強化等に積極的に踏み出すべきである。
- (4)行政による環境整備
中堅・中小企業によるIT装備を進める基本は、何と言っても、当事者の意識改革に他ならない。生産性向上の掛け声にとどまることなく、IoT時代におけるセキュリティ確保の必然性や経営者高齢化による廃業の可能性など、取り巻く環境の厳しさやそれが企業の存続に直結しかねない要因であることなどについて広く理解を促していくのは、行政が担うべき最も基本的な役割である。その際、直接の当事者である企業はもとより、上記のような役割を果たし得る金融機関など関係者を広く巻き込み、世の中全体の認識を「危機対応モード」に変えていくことが重要である。その上で、中堅・中小企業の行動を促していく呼び水となるような支援措置を講じていくことも有効であろう。(注)
(注)例えば、平成28年度第2次補正予算で講じられた「サービス等生産性向上IT導入支援事業」(100億円)は、中小企業のIT導入に的を絞った直接的な支援例として挙げることができる。
行政においては、今後5年程度のうちに集中的に中堅・中小企業のIT導入を進める必要性を念頭に、絶えず現状の把握やさらなる対応の検討などを進め、日本経済の基盤を脆弱にするような事態を招くことのないよう、必要な環境整備を実行していくべきである。
5.終わりに
日本企業の生産性向上が日本経済の今後の発展に不可欠であることは長く指摘されてきたことであり、日本の産業の構造的とも言える問題である。加えて、この課題の解決に当たって、IoTが世の中のインフラになりつつある最近の状況変化を加えて考えることが必要になり、この今日的な要因によって、より切迫した課題となっている。さらには、中小企業の経営者の一層の高齢化が進み、多くが引退予定年齢に年々近づいている実態が、早期の課題解決の重要性を一層増していることは、上に述べたとおりである。
関係者においては、中堅・中小企業のIT装備という問題をこうした複合的な視点で理解し、時機を逸することなく課題解決の行動を起こしていくことが必要である。これは、極めて多数の企業行動を変えていくプロセスであり、当事者たる中堅・中小企業の自助努力はもとより、IT企業、金融機関、行政がそれぞれの役割を追求することが不可欠である。
危機的な状況認識が広く共有され、過去の危機に果敢にかつ柔軟に対処してきた日本企業と同様、この問題を克服する取組みが加速されることにより、数年のうちに日本経済の基盤強化が実現されることを期待したい。
【注釈】
[1] 第1部 第2章 第1節 第1-2-1図(中小企業数の推移). 中小企業白書(2016年版) p.24
[2] 滝澤美帆 東洋大学経済学部准教授. “日米産業別労働生産性水準比較”. 公益財団法人 日本生産性本部 生産性研究センター. 2016年12月
[3] 第1部 第3章 第2節 第1-3-2図(労働生産性と労働構成比(規模別、業種別)). 中小企業白書(2016年版) p.64
[4] 第2部 第2章 第2節 第2-2-1図(業種別に見たIT投資有無と業務実績の関係) 第2-2-4図(電子商取引による効果). 中小企業白書(2016年版) p.117 p.120
[5] 第2部 第2章 第2節 第2-2-6図(業種別に見たITの導入状況) 第2-2-8図(業務領域別に見たITの導入状況). 中小企業白書(2016年版) p.133 p.135
[6] “2015年 全国社長の年齢調査” 株式会社東京商工リサーチ. 2016年2月8日
第2部 第6章 第2節 第2-6-37図(年代別に見た中小企業の経営者年齢の分布). 中小企業白書(2016年版) p.454
[7] 第1部 第2章 第1節 第1-2-6図②(休廃業・解散件数、倒産件数の推移). 中小企業白書(2016年版) p.31
[8] “2016年「休廃業・解散企業」動向調査” 株式会社東京商工リサーチ. 2017年1月19
日
[9] “「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の概要” 日本政策金融公庫 総合研究所. 2016年2月1日
[10] 第2部第6章第2節 第2-6-44図(経営者の年齢別に見た今後3年間の投資意欲) 第2-6-45図(経営者交代有無別に見た経常利益率の推移). 中小企業白書(2016年版) p.462-463
[11] 金融庁 “平成28事務年度 金融行政方針”. 2016年10月 “金融仲介機能のベンチマーク”. 2016年9月