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「飛行機や鉄道を使った旅行に関する意識調査」を公開

2025年10月31日
株式会社国際社会経済研究所

生活者実態調査「飛行機や鉄道を使った旅行に関する意識調査」
~多様な旅行目的・旅マエ・旅ナカニーズとデータ利活用が示す、新しい旅行体験のかたち~

世界の知の集積で未来の社会価値創造をリードする、NECグループの独立シンクタンク国際社会経済研究所(IISE)は、生活者実態調査の1つとして実施した「飛行機や鉄道を使った旅行に関する意識調査」調査の結果を公開いたします。

本調査では、多様な旅行者を「旅行目的」「旅マエ」「旅ナカ」の3つの側面から捉え、それぞれに見られる特徴や不満、今後の期待と対応施策を検討。各局面での不満やニーズ・期待の分散傾向や、データ利活用に対する意識や期待等が明らかになりました。

またその分散傾向にある不満やニーズ・期待への対応策として、手間の削減や効率化の他、「個人のより深い理解に基づくパーソナライズ提案」や「旅行全体を通じた事業者間のデータ連携により可能になる予約一括管理」など、新しい旅行体験を可能にするデータの利活用とその際の安全性との両立の重要性も改めて確認されました。

本調査のトピック

  • 旅行目的別の特徴と傾向

  • ・旅行目的は、「観光43%」「グルメ39%」が上位。「推し活12%」「ワーケーション・自己成長8%」など新たな目的も出現。
  • ・推し活層は若年層の20%。一人旅が多く行動効率や道中の通信環境やエンタメを重視
  • ・ワーケーション層は45歳未満男性中心。仕事効率と滞在満足の両立を求める実利志向
  • ・目的によって行動・支出・重視する点が異なり、目的別UX設計が重要
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  • ②  旅マエの旅行プラン・手配スタイルの特徴と傾向

  • ・旅行プランは「おすすめプラン」派35%と「自分で一からカスタマイズ」派33%が拮抗
  • ・手配スタイルは「一括手配」派38%、「個別手配に抵抗なし」派24%で前者がやや優勢
  • ・旅の情報の一括管理やスマホ完結など手間削減は全体的にニーズが高い
  • ・効率重視派(おすすめプラン派・一括手配派)は、個人データ活用には慎重
  • ・こだわり派(カスタマイズ派・各個別配派)は、目的地での活動に楽しさを実感する割合が高く、主体的な選択と旅の満足度の関係性が示唆

  • ③  旅ナカ(移動、空港・ターミナル駅滞在)の特徴と傾向

  • ・空港・駅を「旅行の一部として楽しみたい」41%と「短縮したい」35%が拮抗。楽しむ派は食・景色などを重視、短縮派は移動や待ち時間、手続き、混雑などに不満。両者とも「過ごし方を充実させたい」が約半数、体験価値向上への期待が高い
  • ・移動(目的地まで、目的地での移動)にストレスを感じる層は、データ連携施策などによるスムーズな体験へのニーズが高い
  • ・今後の“旅ナカ体験”には、効率性やストレス低減と、楽しさ向上など体験価値を高めるアプローチに期待

本調査では、多様な旅行者を「旅行目的」「旅マエ」「旅ナカ」の3つの側面から捉え、各属性の特徴、移動に関するニーズ/不満を整理し、それらを踏まえた対応施策を考察しました。

① 旅行目的別の特徴と傾向

・旅行者の目的意識は多様化が進み、「観光(43%)」「グルメ(39%)」が上位を占める一方で、「推し活・イベント鑑賞(12%)」や「ワーケーション・自己成長(8%)」といった新たな目的もみられます。

・特に推し活層は29歳以下で20%を占め、一人旅が42%と高く、観光目的を兼ねる割合は31%と低い傾向です。目的に集中する一方で、空港や駅を楽しみたい意識は平均並みにあり、通信環境、電源など移動中の快適さへの関心や、動画や音楽などエンタメへの期待も高く、推し活と関連した施策による旅ナカ体験の向上余地がうかがえます。

・一方、ワーケーション・自己成長層は45歳未満男性が多く、旅マエの手配に不満を持つ傾向があります。おすすめプラン提示やデータ連携による一括管理と、会員ステータスに基づくサービス向上や混雑状況の把握など、「仕事効率」と「快適な滞在環境」の両立を求める実利志向が特徴です。

・旅行目的によって行動や支出、重視する点が異なり、目的別UX設計が重要になります。

②旅マエの旅行プラン・手配スタイル別の特徴と傾向

・旅マエの計画では、「おすすめプラン」派(35%)と「自分でカスタマイズ」派(33%)が拮抗。

・旅行手配は「一括手配」派が38%、「個別手配に抵抗なし」派が24%と前者がやや優勢。

・効率重視派(計画「おすすめプラン」、旅行手配「一括手配」)は、嗜好や行動履歴に基づく旅先や移動の提案を評価する一方で、企業による個人データの活用には慎重。利便性と安全性の両立(適切なサービス設計と安全性の提示)が重要です。

・こだわり派(計画「カスタマイズ」、旅行手配「個別手配に抵抗なし」)は、前者は性別・年齢の偏りはなく、後者は男性、55歳以上、一人旅が多い傾向でした。両者とも企業のデータ活用への抵抗感は低く、また目的地での活動や移動に楽しさを実感している割合が高く、主体的な選択と旅の満足度の関係性が示唆されました。

③旅ナカ(移動・空港・ターミナル駅滞在)での特徴と傾向
・空港・駅での滞在については、「旅行の一部として楽しみたい」41%と「目的地へ早く向かいたい(短縮派)」35%と前者がやや多いものの二分されました。

・楽しむ派はグルメや買物、景色、非日常感などを重視し、短縮派は移動や待ち時間、手続き、混雑等への不満が高い傾向です。また、「今後はより充実した過ごし方をしたい」が両者とも5割を超え、体験価値向上への期待も高くなっています。

・移動(目的地まで、または目的地での移動)にストレスを感じる層は、旅ナカ全般の他、目的地(観光地)での混雑などにもストレスがあり、データ連携による「待ち時間短縮」「入場時間調整」「混雑把握」などへの期待が高く、スムーズな体験を求める傾向が見られました。

・今後の旅ナカ体験では、効率性やストレス低減を図る取り組みと、楽しさなど体験価値を高める取り組みの両面でのアプローチが期待されていることが示唆されました。

このように、目的別、旅マエ、旅ナカの「手間」や「効率性」への不満と、その改善への期待は、多くの旅行者に共通してみられました。一方で何をより楽しみたいか、その優先度や期待の内容は多様で、不満やニーズは分散傾向にありました。また好まれる解決手段や体験向上施策も様々で、幅広い対応に加え、より個人の嗜好にあったプラン提示の重要性が示唆されました。

■データの利活用への意識~個人の履歴活用やデータ連携による新しい旅行体験の魅力度

<旅行UXの向上:嗜好や行動履歴、ステータスなど旅行者自身のデータ活用観点>

・会員ステータスや嗜好・行動履歴にもとづく「提案」や「アップグレード」は各々約2割が魅力と回答。嗜好・行動履歴にもとづくパーソナライズ提案(旅行先・移動・宿泊先)のいずれかを魅力と回答した人は全体の4割でした。この「提案」を魅力に感じる層は、不満やサービス向上施策への関心も高く、旅行全般への意欲の高さがうかがえます。

嗜好や行動履歴、会員ステータスなど旅行者自身のデータを活用した旅行体験向上施策については、アップグレードだけでなく、パーソナライズ提案へのニーズも浮上

<旅行UXの向上:事業者間のデータ連携観点>

・交通・宿泊地・目的地がデータ連携することで実現するサービスでは、「割引」34%「移動・宿泊・目的地の予約一括管理」29%「事前の混雑把握」27%が上位、8割がいずれかのサービスに魅力を感じると回答。個別の場の改善よりも、データ連携によって旅全体の体験を向上させる取り組みへのニーズがありそうです。

連携による割引ニーズがもっとも高いが、利便性向上などメリット例のいずれかに「魅力を感じる」と8割の旅行者が回答

なお、これらの体験を可能とする前提「企業によるデータ活用」に対する抵抗感は、「抵抗あり」22%を「抵抗なし」31%が上回るものの「どちらとも言えない」48%が半数を占め、適切な設計や説明が必要なことが改めて確認されました。

このように効率や体験向上と安心の両立が求められています。旅行者が提示したい情報だけを選択的に企業に開示でき、相互運用性が確保しやすく企業側も不要な個人情報の保有を避けた運用が可能なデジタルIDウォレットやDID/VCのようなweb3技術もその解決策として検討できるでしょう。

調査資料には、旅マエや旅ナカ(ターミナル駅や空港、移動等)それぞれへの期待や不満、サービス向上施策への期待などの結果を掲載しています。ご興味のある方は、ダウンロードしてご確認ください。

IISEは今後も多様なパートナーとともに移動や旅行体験の向上ならびに移動の活性化などを検討してまいります。

■ 調査概要

  • ・調査手法:インターネット調査(定量調査)
  • ・調査対象1869歳の日本在住者(直近国内・海外旅行経験者)
  • ・サンプル数1,000サンプル(スクリーニング調査15,000サンプル)
  • ・調査期間2025317日~20

■ 調査結果の利用について

調査結果の一部を転載・引用される場合は、出典元として「国際社会経済研究所(IISE)」とご記載いただきますようお願いいたします。出典元を明記せずに転載・引用を行うことや、データの一部または全部を改変することなどの行為はご遠慮ください。

■ 国際社会経済研究所について

国際社会経済研究所(通称:IISE)は、世界の知の集積で未来の社会価値創りをリードする、NECグループの独立シンクタンクです。生活者の視点と社会の視点を持ち、中立的な立場で課題を探索、そこで得た「気づき」を起点に、未来を構想、実現への道筋を描きます。世界の多様な機関や団体、オピニオンリーダーと協働し「未来の共感」を育む中で、新たな社会価値の創造と社会への実装を目指してまいります。 

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■ 本件に関するお問い合わせ先

株式会社国際社会経済研究所(IISE) ソートリーダーシップ推進部 塚原・寺田

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