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多様性を広げるAI・IoT基盤と社会サービスに関する調査研究

2018年4月~2019年3月

【執筆・担当者】
松永 統行(国際社会経済研究所 主任研究員)

   AIIoTが一体化しながら、さらにBC(ブロックチェーン)が加わり、新しい概念によるICT(情報情報技術)が社会に実装されつつある。インターネットにクラウドコンピューティングが登場し、データの保管場所や計算能力が手元の情報端末になくとも、あたかも手元の情報端末が実行しているかのようにクラウド側で仮想的に構築できるようになった。このアマゾンやグーグル等の北米のプラットフォーマーが作り出したコンピューティング概念の革新により、パーソナルコンピュータやスマートフォンばかりではなく、膨大な数の多様な情報端末がインターネットにつながるようになった。インターネットは、情報サービスの多様化を実現した巨大なプラットフォームとなり、ここに、AIBCの技術が重なることで、人と共存する情報サービスが生まれている。

 従来の情報空間との大きな相違は、情報がIoTにより知覚され、AIにより判断され学習し、BCにより、書き換えることができない記録・記憶が可能になり、いいかえれば、情報空間がヒトのような主体的特徴を持つようになった点にある。IoTAIにより膨大な情報の書き換えと、BCによる書き換えることのできない情報が共存する新しい情報空間を社会のなかに取り込むためには、この主体という概念を捉え直していく必要がある。

 本調査研究では、IoTAIBCが搭載されて広がるプラットフォームにおける次世代要素技術を紐解きながら、スマートシティを構想する複合的AI活用のためのデジタルサービス基盤を考察し、ポリモルフィック・スマートシティモデルのあり方について調査研究を行った。調査研究の一環として、シカゴのAoTArray of Things)、エストニアのX-Road、ロンドンで自律型サービスプラットフォームを展開しているGDSといった先進事例調査も実施した。

   本調査研究にあたっては、IoT研究会を開催し、有識者を加えた検討を実施してきた。2018年度は、西成活裕教授(東京大学 先端科学技術研究センター)および中西崇文准教授(武蔵野大学 データサイエンス学部)に参画いただき、AIの進展に伴う自動運転と通信・交通インフラをテーマに、近未来のスマートシティに関して共同で調査研究を進めてきた。2019年3月19日には、関係者限定シンポジウムを開催し、さらなる議論を行っている。