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スマートシティ構築にともない発生する法的規制等の可能性及び当該規制等への技術的対処に関する調査研究
2019年10月~2020年3月
【執筆・担当者】
畔見 昌幸(国際社会経済研究所 主任研究員)
スマートシティはそれを構成する要素は様々な分野に及ぶ。移動や物流、医療、行政、防犯安全などであり、それらの要素、つまり機器やサービスが重層的に参画しながらスマートシティを形成していく。企業は様々な機器やサービスを社会実装させるための研究開発を実施していくことになるが、一方でそれらを実施していくに際しては、様々な法的な障害に直面することにもなる。Sosiety5.0という来るべきスマートな社会にあっては多くのデータが各種の機器やサービスを縦横無尽に行き交い利活用されることになるが、国や政府はそれらの開発を促進するために規制緩和といったことのみならず、国民の法益保護のために既存の法令に加えて、今後、様々な規制やルールを課してくることも考えられるということであり、企業としてはそれに柔軟かつ的確に対応していかなければならない。
そこで、本調査研究においては、都市問題や財政課題といったスマートシティの必要性と関連政策を概観したのち、スマートシティ構築のための要素・関連技術の社会実装に伴って発生する弊害としてのセキュリティ・プライバシー、現行法の不存在等々について既存法令や今後の法的整備の可能性の考察を行った。
そのうえで、それら法的規制やルールに対する技術として、現行の規制やルールを一時的に停止した状況下で企業が実証実験を行える制度である「規制のサンドボックス制度」、規制への準拠をいかに正確に実現するか/規制への施行や改正に対していかにすばやく適用するか/いかにコストを抑えて規制対応するかという視点と近年急速に進みつつあるAI、ロボット、認証技術等々がそうした規制やルール対応に活用できる「レグテック」、行政側として規制やルールをやはりAI等の技術を活用して監督実施する「サプテック」について、それら技術の背景や考え方、分類、日欧米等における具体的活用事例、さらにはそうした規制・ルール対処サービスをビジネスとしてとらえる点からの市場拡大の動向等に関して、技術サービス提供企業も例示しつつ調査研究を実施した。