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先進国政府・地域行政のAIを活用したDXに関する調査研究

2019年4月~2020年3月

【執筆・担当者】
飾森 正(国際社会経済研究所 主幹研究員)

   DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術で商品やサービス、業務、組織、文化を変革し、新事業を生み出す取り組み全体をさす。現在、企業では、AIIOT、クラウド、モバイル、5Gなど革新的技術の継続的な進化が進む中、刻々と変わる社会情勢や、顧客ニーズ、根幹的なビジネスモデルの変化に即応するため、デジタル技術を積極的に継続的に取り入れながら、新事業を生み出すことが、企業活動に求められている。

   経済産業省は、2018年に公開した「DXレポート」で、国内産業においてDXを進めなければ、2025年以降、毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると問題意識を公表し、最終的に国の産業競争力向上につながるような、産業のDX化を強力に支援するとしている。同様に、先進国政府、地域行政機関では、今後の人的・予算的制約が厳しくなる中、複雑化する行政課題に対応するため、DXにより、業務・サービスの高度化・効率化を図る機関の事例が多くなってきている。

   そこで、本調査研究では、以上のような課題を踏まえて、欧米等先進国における政府、地域の行政機関における行政サービス改革について、AIを中心にDXがどのように進められているかを先進国の実証プロジェクトの実態調査を含め、制度、政策、社会的課題について調査分析した。

   調査結果として、DXは、新たな顧客体験価値を創出、ビジネスをデジタルプラットフォームによって、企業活動をサービスでの戦いに変容していること、先進各国は行政でのベースレジストリのデジタル化(DX)で経済成長狙っていること、先進国各国行政におけるDXは初期段階であることを指摘し、政府に対しては、①行政へのベースレジストリのデジタル化(DX)の推進強化、②行政府内への民間人材導入、スタートアップ活用などの行政DXのエコシステムの構築、③行政サービスの改革のためサービスデザイン思考の導入、の3点を提言した。