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AI・IoT・BC基盤と社会サービスに関する調査研究

2019年4月~2020年3月

【執筆・担当者】
松永 統行(国際社会経済研究所 主任研究員)

   近年のデジタルテクノロジーによる変革は、IoTAIの進展に、BC(ブロックチェーン)が加わり、加速的に産業や社会に変容をもたらしており、情報通信分野はパラダイムシフトの中にある。インターネットは、スマートフォンの内臓カメラや街の監視カメラなども自在につなぐ巨大なネットワークとなり、モノのインターネットとよばれるIoTという概念を生み出した。同時にヒトのように考え判断する人工知能技術AIが進展し、また、仮想通貨のような新しい経済機構をつくりだすブロックチェーン技術も広がっている。この3つの技術はさらに融合し、新しい産業基盤や社会基盤を生み出す。このような今までとは異なった社会変革をもたらすデジタルテクノロジーの潜在力が高まっている。

   IoTはセンサーネットワークやロボティスクの技術分野から、AIは深層学習等のアルゴリズム技術分野から、ブロックチェーンはピアツーピアの分散アプリケーション技術分野から、それぞれが2007年頃から世の中に登場し、わずか十年ほどで新しいサービスを作り出してきているが、今後は、社会サービスを創出する技術として、さらに一体的に捉えデザインされる必要がある。

   現在、注目を集めている先端技術は、自動運転や自律ロボットのように、自律型分散システムであることにも特徴があり、遠隔からの指揮がなくともハードウェアやソフトウェアが協調する、従来とは対極的な思想を持つシステム技術である。次世代デジタルプラットフォームにおいては、統合的な指揮のもと協調する仕組みと、指揮がいなくとも協調する前述のような自律的な仕組みの両極的な協調機構が共存するので、人間や社会(多様な主体)の視点からデザインされた新しいICTの社会サービスの世界観を構築することが必要になる。また、このような先端的なイノベーションは、オープンソースやクラウドソーシングといったSNSの上で創られるようになった点にも特徴がある。したがって、これからのAIが搭載された自律型分散システムには、多様な人やコミュニティに寄り添う、多様なかたち(多形型)を持つ機構としての可能性も広がっている。

 本調査研究では、世界のスマートシティにおける多形型の価値創出モデルも捉えながら、人工知能技術の進化や、複合サービス技術を社会技術に転換するデザイン思考や社会サービスについての調査研究を実施した。