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国民IDとDX時代のプライバシー動向に関する調査研究
2020年4月~2021年3月
【執筆・担当者】
小泉 雄介(国際社会経済研究所 主幹研究員)
本調査研究では、上記の2テーマについて文献調査および分析を行い、社内外に対する情報発信や提言を行った
(1)顔認識を用いた個人認証サービスの調査
近年の顔認識技術の精度向上により、空港・小売店など様々な場面で顔認識を利用する事例が増えてきている。成田空港の「OneID」では1回ごとに旅客の顔特徴データを消去するが、今後は本人同意の下に顔特徴データを事業者サーバに保管し、空港のみならずホテル・小売店・レンタカー・レジャー施設などで継続的に利用できるような、顔認識技術を用いた認証局ビジネス(個人認証サービス)への展開も期待される。ただし、このような「顔認証」の認証局ビジネスについて、プライバシー等の観点から十分な社会的コンセンサスは得られていない。そのため、顔などの生体データを用いた個人認証サービスの国内外動向を調査し、社会的コンセンサスを得るための方策について検討した。
(2)中央銀行デジタル通貨における個人情報保護の調査
国際決済銀行によれば世界の中央銀行の8割が中央銀行デジタル通貨(CBDC)について検討しており、日本銀行も2020年10月に「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」 を公表している。CBDCの利点は管理主体が取引内容を確認できるため脱税や資金洗浄などの犯罪を防ぎやすい点にあるが、個々の取引内容は個人にとって機微な個人情報であり、政府による国民生活の監視も懸念される。そのため、CBDCの制度設計に当たっては単にデジタル化の利点を追求するのみならず、個人情報保護をビルトインした制度設計を行うことが社会的受容性の面で不可欠である。そのため、海外の先進事例における個人情報保護策について調査を行った。