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スマートシティ構築とモビリティ関連サービス実装等に関する調査研究

2020年10月~2021年3月

【執筆・担当者】
畔見 昌幸(国際社会経済研究所 主任研究員)

   新型コロナウイルス感染症の影響は全世界にわたる人々の暮らしを様々な側面で直撃し、特に人々が多く居住する都市部ではその影響は甚大であり、都市の在り方等を巡って多くの議論・論点を惹起させた。人々がよりよく暮らすためには人口問題や財政問題という伝統的な問題から、近年では利便性(QoLQuality of Life)の向上も重要な視点であって、こうした課題解決のために如何にして都市をデザインしていくかが必要であり、それがひいては大きな意味のスマートシティの構築になるということが言える。また、かかる都市デザインの中での重要な要素の一つであるモビリティの世界では、自動運転が実用化一歩手前まで来ており、MaaS(mobility as a service)も含めたこれらモビリティ技術・サービスの深化は、過疎地域・都市の双方にとっての移動等の課題解決のための重要なファクターであると考えられる。

 そこで本調査研究においては、スマートシティを考察するうえで必要になる都市における課題や新型コロナウイルス感染症後の都市の在り方や方向性等に関し国際機関や各シンクタンクのレポート、政府の政策等を中心に調査研究を行った。次いで、モビリティの現状として自動運転に関する我が国を含めた各国の政策や実証の現状等に加えて、サービス面のMaaSに関し、人々の利便性向上と事業性等には様々なステークホルダーの参画が求められているビジネスエコシステムの考え方等について文献等調査及び具体的な事業の例示などを軸に調査研究を行った。

 本調査研究より、今次の新型コロナウイルス感染症の影響があっても引き続き都市の優位は揺るがず、むしろ都市における課題解決・利便性向上の必要性は今後も引き続き強く、こうした観点からビジネス上も極めて強い需要が見込め得ること、自動運転については我が国では法的な整備が先行している一方で、欧米中国においては日進月歩で技術の進捗が進んでおりスマートシティの構築とも連携した実証実験等が積極的に実施されている状況にあること、MaaSのサービス展開においては多様なステークホルダーの参画の仕方も含めて事業性も含めて改善の余地が多々あることから、ビジネスエコシステムの中で連携・展開できる事案を重層的に鑑みていく必要があること等を提言としてまとめた。