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AI・IoT・BC基盤とDXに関する調査研究
2020年4月~2021年3月
【執筆・担当者】
松永 統行(国際社会経済研究所 主任研究員)
スマート化が進む経済や社会の中で、企業は国家を取り巻く市場環境のデジタル化が進み、新しい情報環境に向けてデジタルトランスフォーメーション(DX)という概念が国家や企業の変革への取り組みのキーワードとして用いられるようになった。
ここまでのデジタル化は、パーソナルコンピュータをつなぐインターネットに始まり、スマートフォンをつなぐクラウドコンピューティングによる進化の中で展開したが、今後は、それら以外の情報端末化する都市の中のセンサーや産業機器などもネットワーキングの対象となるエッジコンピューティングが加わる。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった先端技術が活用され、情報が生成された現場で処理をするエッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの両輪により情報基盤は、従来とは異なった新たな進化のフェーズに入っている。
DXにより、さらに人やモノやカネ、そして情報などの経営資源がつながり、流動的に世界経済がつながる社会が構想されていたが、2019年11月末に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により世界の状況は一変した。人流・物流の流動が制約され、世界経済は、リーマンショックを超える危機の渦の中にあり、場所々でそれぞれの課題を抱えた多様な孤立状況が生まれ、その中で人々の生命に関わる新しい社会基盤のあり方の再考が余儀なくされている。
一方で、情報の流動性は拡大しており、感染予防と経済復旧に関わる情報機構のあり方も模索の中にある。コロナパンデミックを境に、人間関係、働き方、衛生観念、教育、流通、医療をはじめ、多くのことが本質的に変わり、新しい社会インフラや都市インフラは、人間中心のイノベーションへ大きく舵を切っている。20世紀は、モノづくりにより生活様式が形成されたが、21世紀は、社会の多様な価値観がデジタル基盤上に広がり生活様式が形成される中で、サステナブルという地球規模の概念の下、社会基盤のあり方が再定義される時代に向かっている。
本調査研究では、高度化するデジタル基盤技術の動向を読み解きながら、AI・IoT・BC基盤の進化や、アフターコロナで変わるDXの進展についての調査研究を実施した。