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顔認識技術サービスの規制動向とDFFTの政策動向に関する調査研究
2021年4月~2022年3月
【執筆・担当者】
小泉 雄介(国際社会経済研究所 主幹研究員)
本調査研究では、上記の2テーマについて文献調査および分析を行い、社内外に対する情報発信や提言を行った
(1)顔認識技術を用いた先進事例と規制動向の調査
Post COVID時代に有効な非接触・非対面型技術として、国内外で顔認識技術を用いたサービス事例が増えている。顔認証など特定個人の識別を目的としたサービスに加え、顔画像から個人の感情や性格を推定する感情認識(emotion recognition、affect recognition)等の技術開発も進んでおり、実用化が期待されている。ただし、顔認識技術を用いたサービスに対しては特に欧米でプライバシー面等からの批判・懸念が多く、米国で州法・条例制定が進むほか、欧州委員会が公表したAI規則案においてもリモート生体識別(自動顔認識等)が規制対象として挙げられている。本調査研究では顔認識技術を用いたサービスの国内外先進事例とともに規制動向を調査・分析し、顔認識サービスの展開に向けた方策を検討した。
(2)DFFTに関する各国の政策動向の調査
日本政府はDFFT(Data Free Flow with Trust)を欧米と共に推進しており、EUとは個人データ移転に関する相互十分性認定を行い、米国とはAPECのCBPR(Cross Border Privacy Rules)の普及促進で協力している。しかし、昨年の欧州司法裁判所による米欧プライバシーシールド無効判決(Schrems II判決)や、中国・インド・ベトナム等のアジア諸国におけるデータローカライゼーションやガバメントアクセスを許容する法令・政策など、DFFTを妨げる動きも多く見られる。2021年には日本のアプリ会社の保有する個人情報が中国委託先からアクセスできることが問題となった。各国におけるこれらの政策動向を調査するとともに、個人データの円滑な越境移転とデータ利活用ビジネスの拡大に向けて日本企業が取るべき方策について検討を行った。