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環境政策の動向とデジタルを活用したビジネス機会に関する調査研究
2021年4月~2022年3月
【執筆・担当者】
畔見 昌幸(国際社会経済研究所 主任研究員)
温暖化対策をはじめとする地球環境問題はかねてより重要なイシューであったが、近年は米国や欧州の政権のもと極めて強力に推進され始めている。我が国においても2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロ=2050年カーボンニュートラル=脱炭素社会の実現を目指すこととされ、環境をめぐるこうした世界の潮流は、ビジネスの分野においても大きな影響を与え得ると考えられることから、重要な配慮をもって注視検討していかなければならない分野になっている。
そこで本調査研究においては、地球温暖化対策・脱炭素社会に向けた世界の潮流トレンド、各国・地域別の政策や実施状況、グリーン・脱炭素を進めていく上でのリスク、スマートシティや地方自治体の地球温暖化対策・脱炭素のための取り組みに関して、国際機関や各シンクタンクのレポート、政府の政策等を中心に調査研究を実施した。また、ITデジタル×脱炭素の観点と都市づくり・スマートシティカテゴリーより、個別具体的なビジネスサービス事例として、再生可能エネルギー活用(アグリゲーションビジネス)、スマートポールシステム、廃棄物収集処理、自然災害リスク(防災)、ESG開示やレピュテーションリスクの観点からルール等規制対応へのIT技術の活用をピックアップし、それぞれの内容、各社地域等事例、今後の市場動向等についての調査考察を行った。
本調査研究より、我が国をめぐる政治経済情勢は先行き不透明な状況ではあるものの、気候変動や脱炭素というトレンドは短期的にはともかく中長期的には変わらず、また「この機器やサービスはどれほど地球温暖化防止や脱炭素に資するのか」といった点に関しては、すでにビジネスの進め方や考え方としてビルトインされているというのが現状であることを改めて示すとともに、かかるトレンドをビジネスチャンスとし、機器やサービスの単体の脱炭素を目指すことのみならず、環境ビジネス関連コンサルティング等といった複合的な展開を目指すことが重要であることを提言した。