サイト内の現在位置を表示しています。
ICT・AIによるデジタル基盤の進化と脱炭素化に向かう社会に関する調査研究
2021年4月~2022年3月
【執筆・担当者】
松永 統行(国際社会経済研究所 主任研究員)
コロナパンデミックは、世界のデジタルトランスフォーメーションシフトを加速化させたが、同時に、本来の目的である次世代の社会を創出するためのデジタル力が問われている。デジタルトランスフォーメーションは、経済危機を招いたリーマンショックを契機に浸透した概念であり、ニューノーマルという言葉とともに広まった。
リーマンショックに続くコロナパンデミックにより、グリーントランスフォーメーションが標ぼうされるようになり、グリーンとデジタルへの移行により、未来の社会へのパラダイムシフトが動き出している。
経済とパンデミックという二つの危機がこのようなデジタルへの移行を加速化させているが、根底には気候危機がグローバル経済のあり方に変容を求めている。環境問題は今や早急に手を打たなければ社会問題に転じている。
脱炭素社会への移行は急務となっている。温室効果ガスの削減目標は今後もさらに厳しく展開される方向で動かなければ、気候危機が本格化し後戻りできない状況下にあることも世界的な認識になり始めた。温室効果ガスの削減については、従来の削減努力では決して達成できないものになっており、あらゆる主体が向き合うことが必要になった。企業においては、経営基盤そのものを脱炭素社会に適応できるものに、政府もより具体的な政策を打ち出すことが求められている。
本調査研究では、ソートリーダーシップを意識しながら、まず、脱炭素に向けた潮流を俯瞰し、国際金融機関を動かすダイベストメントや、市民活動活性化などを捉え、脱炭素による社会の変化を考察するとともに、グリーンリカバリーで先行する欧州の脱炭素シナリオと政策パッケージの調査をした。
また、日本の情報産業の縮図といわれるNECの事業の変遷を捉えながら、政策提言につなげるべく、次世代のデジタル化やソリューション事業の構造を解析している。今後の社会基盤のデジタル化の最大の特徴は、あらゆるところにAIが搭載されていくAIのユビキタス基盤が形成されていく点にある。AIにつながれた情報空間が創り出すリアルとバーチャルが融合する技術革新が展開している状況を考察し、加速化する情報通信基盤の進化と脱炭素化に向かう社会が創り出す次世代ビジネスについての調査結果を報告する。