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脱炭素化を支えるグリーンファイナンスの動向に関する調査レポート

2021年4月~2022年3月

【執筆・担当者】
大平公一郎(国際社会経済研究所 主幹研究員)

   人間の生活・社会活動が、気温や海水温の上昇、生態系の変化、海面の上昇、雨の酸性化といった、様々な地球環境の悪化につながっているという認識が世界各国で共有され、世界全体で対応を進めなければいけないという危機感が醸成されている。状況の改善には、環境に良い効果を与えるグリーンプロジェクトの実行が求められ、それを資金的に支えるグリーンファイナンスに注目が集まっている。

 本調査研究においては、まずグリーンファイナンスに関して、その種類や求められる背景、エコシステムなど基本的な事項や、グリーンファイナンスの評価に欠かせない外部評価機関やデータ、国内の金融機関やICT企業の取り組みなど、国内の状況を中心に調査研究を行い、中間報告書としてまとめている。

 さらに最終報告書においては、EU、英国、米国、ASEAN主要国について、それぞれの国・地域における主な気候変動対策、グリーンファイナンスの動向、非財務情報開示やタクソノミーといったグリーンファイナンスを推進するための施策、グリーンフィンテックに代表されるグリーンファイナンス×デジタルの動き、グリーンファイナンスを取り巻く多国間連携・国際機関の動き、などを報告している。

 本調査研究により、グリーンファイナンスの評価には多くの環境関連データが用いられ、そうしたデータを効率よく処理できるICT技術への期待も高まっていること、エネルギー効率の高いデータセンター建設や再生可能エネルギーの調達などICT企業の資金調達においてグリーンファイナンスの活用場面が多く存在することなど、ICT企業によるグリーンプロジェクト・グリーンファイナンスへの貢献拡大等を主な提言としてまとめている。