サイト内の現在位置を表示しています。

国民IDの先進事例とIDを活用した望ましい社会像に関する調査研究

2022年4月~2023年3月

【執筆・担当者】
小泉 雄介(国際社会経済研究所 主幹研究員)

  本調査研究では下記の2テーマについて文献調査および分析を行い、社内外に対する情報発信や提言を行った。

(1)国民IDの先進事例調査
 国民IDは、先進国・新興国・途上国を含め世界各国で導入されており、主に実世界での「物理的な身分証明書」とオンライン等での「電子的な身分証明書」という2つの用途で利用されている。後者は一般に「eID」またはデジタルIDと呼ばれ、この普及は、国民に効率的で利便性の高いサービスを提供する上で重要な鍵となる。デジタルIDは日本等ではIDカードに搭載した電子証明書(公的PKI)によって実現されているが、必ずしも使い勝手が良くないため、スマートフォンにデジタルID機能を持たせたり、指紋・顔等の生体情報をデジタルIDの手段(クレデンシャル)とするなど、より住民視点に立った方法が各国で検討されたり実装されている。本調査研究では、国民ID/デジタルIDの海外先進事例について調査・分析し、我が国における国民ID/デジタルIDのあるべき姿について検討した。

(2)国民IDを活用した望ましい社会像の検討
 国民IDを、あらゆる人々がデジタル社会において自由に人間性を開花させ、自らの幸福と他の人々の福祉を追求することを可能とする社会制度の基盤、また脆弱な人々が貧富の格差・感染症・紛争・権威主義等のグローバル化に伴う不利益を被るリスクに対処する社会制度の基盤として捉え、現代社会において国民IDに求められる基本的な原則について検討を行った。