サイト内の現在位置を表示しています。
ホワイトボックス型AI を活用したケアプランの社会実装に係る調査研究
令和4年度 厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業)2022年6月~2023年3月
ケアプランの作成は、ケアマネジメントの中でも負担感の高い業務であり、ケアマネジャーによるバラつきも指摘され、AIを活用することへの期待が高い。老健事業では、平成29年度からの3年間をフェーズ1と位置づけ、ケアプラン作成支援AIの開発において、文章で記載されたケアプラン2表といったデータをどのように分析することが可能であるかについて取り組んだ。本調査研究は、令和2年度からの3年間をフェーズ2と位置づけ、データの量だけではなく、データの質の面からのアプローチも強化し、居宅介護支援事業者やホワイトボックス型AIにおいて先端的技術を持つNEC等と協働し、実証的な調査研究に取り組んだ成果をとりまとめている。
心疾患、脳血管疾患、大腿骨頸部骨折の3つの疾患で、ケアマネジャーの思考フローの見える化した複線的モデルを作成し、ここから得られた共通項目をルールとしてAIに学習させることで、専門性の高いケアマネジャーの判断に近い基準で新しいグループ分けを行うことや、加齢による心身の低下を「調整変数」という形で反映し、利用者の状態変化をより正確にAI分析に反映できるような取り組みを行うことで、フェーズ1の疾患別のAIモデルから、フェーズ2では類型化した8クラスタによる汎用型のAIモデルに大きく転換した。
今年度は、8クラスタの中のNo.4クラスタに焦点を当て、ケアマネジャーが実際に体験できるケアプラン作成支援AIの試作システムを構築し、利用者のアセスメントの入力情報に応じて、「AIのお薦めするケア」や適切なケアマネジメント手法を用いた「抜け漏れ注意」が選択肢として表示できるようにした。限られた人数ではあるが、ケアマネジャーによる試作システムの実証も行い、これらのサジェスチョンについて「役に立つ」といったポジティブな回答を得ることができている。
また、これまでの調査研究から得られた知見をとりまとめたリーフレットも作成し、調査研究の成果について広く共有した。