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GXに関する政策/市場動向および事業機会とリスクに関する調査研究
2024年4月~2025年3月
【執筆・担当者】
藤平 慶太(国際社会経済研究所 主任研究員)
地球環境問題への取組は国際社会における最重要課題の一つとなっている。
日本政府は2050年のカーボンニュートラルを目指し、地球温暖化対策に関わる政策を打ち出している。特に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」や「GX2040ビジョン」では、グリーン・トランスフォーメーション(GX)を経済政策の柱として位置づけている。その中ではAIをはじめとしたデジタル技術の活用が期待されており、ICT企業にとっての事業機会が拡大することが見込まれる。
一方で、環境問題に対する社会動向の変化はICT企業にとっての事業リスクともなりうる。例えば、欧州をはじめとした海外での環境規制の強化によって、国内企業も対応を求められるようになる。また、国の「第7次エネルギー基本計画」策定における議論でも大きな論点となったように、AIの需要増加によるデータセンターの電力消費量の増大は、ICT企業のレピュテーションや事業の制約となりうる。電力需要家による再エネ調達が競争になると予測され、再エネに関わる政策・市場動向は事業戦略にも影響を及ぼす。加えて、最新の脱炭素技術開発への関与に乗り遅れることは、長期的に大きな市場を失うリスクとなる。
本調査研究では、環境関連の政策/市場動向の変化によるICT企業にとっての事業機会に加え、それに伴うリスクについて検証した。この事業機会/リスクに対応して、ICT企業が事業活動や顧客への価値提供において取るべき方策について提示した。