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AIを活用したケアプラン作成支援に係るケアプランデータの利活用に関する調査研究

令和7年度 厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業)

2025年5月~2026年3月

 ケアプランの作成は、ケアマネジメントの中でも負担感の高い業務であり、ケアマネジャーによるバラつきも指摘され、AIを活用することへの期待が高い。老健事業では、2017(平成29)年度からの3年間をフェーズ1と位置づけ、ケアプラン作成支援AIの開発において、文章で記載されたケアプラン2表といったデータをどのように分析することが可能であるかについて取り組んだ。2020(令和2)年度からの3年間は、フェーズ2と位置づけ、データの量だけではなく、データの質の面からのアプローチも強化し、AIによるおすすめや適切なケアマネジメント手法の項目による抜け漏れ注意などを実装した試作システムを構築し、実証的な調査研究を実施している。今年度は、フェーズ1、フェーズ2の調査研究の分析結果を活用した上で、フェーズ3の最終年度として5つの実証を実施した。

 実証1では、ホワイトボックス型AIにおける適切なケアマネジメント手法のレビュー・データ活用方法の検討を行った。日本総合研究所が老健事業で実施している「適切なケアマネジメント手法の策定、普及推進に向けた調査研究事業」で収集した「事例に応じて着目すべき支援のデータセット(レビュー・データ)」を分析し、適切なケアマネジメント手法項目の抜け漏れ注意のデータとして補完・代替とできる可能性があるが明らかになった。また、分析の副次的効果として、レビュー・データとAIモデルによる出力の両方で必要と判断されている項目が多くあり、AIモデル出力の妥当性も確認することができた。

 実証2では、おすすめ根拠提示を改善した試作システム3.0へのバージョンアップを行った。本調査研究では、AI技術の中でも、ホワイトボックス型AI と呼ばれる技術で分析することで、なぜAIがこのような結果が導いたのかを検証できるようにしており、試作システムでは、その結果を根拠として表示できるようにし、ケアマネジャーがAIのおすすめするケアを選択する際の判断に利用してもらうことを想定している。昨年度の調査研究において、AIのおすすめ根拠のわかりやすさや納得性を向上させることを目指して3つの改善案を検討し、そのうちの2つについては試作システムに実装可能であることを確認できたため試作システムに反映した。

 実証3では、ケアマネジャーの思考フロー可視化データを新しい枠組みで再整理し、統合版思考フローを作成した。これにより、共通部分と疾患特有部分を明確にすることや、定期的な見直しに伴うメンテナンスにも簡易に対応できるようになった。

 実証4では、AI活用に向けたケアマネジメントデータ収集方法の検討を行い、将来的に、全国同一の基準でケアプラン作成支援AIの開発に必要となる適切なケアマネジメント手法関連のデータを収集することができる可能性について検討した。

 実証5では、実証1から実証4までの結果を踏まえて、AI開発のためのケアマネジメントデータ利活用のための基盤整備のあり方を検討し、AIによるケアプラン作成支援のあるべき姿を明らかにした。しかし、介護情報基盤の動向はまだ進行形であり、ケアプラン作成支援AIと、どのように連携することができるのかといった観点の検討は継続すべきといえる。また、構築した試作システムに関してはスタート地点に立ったばかりともいえ、社会実装のためにはケアマネジャーからのさらなるフィードバックなどにより新たな課題も洗い出し、検討すべきといえる。