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IISEシンポジウム「ウェルビーイングとDX:コロナ時代を生きる」開催報告
2021年3月23日
昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により残念ながら中止となってしまったシンポジウムですが、今年度はWebinerという新しい形での開催をすることができ、100名近い参加を得ることができました。
弊社理事長の石黒からのご挨拶で始まった本シンポジウムの最初のご講演は、内閣官房IT総合戦略室デジタル改革関連法案準備室 参事官補佐の髙田祐人氏から「デジタル改革推進とデジタル庁創設」(髙田氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題し、今秋の発足に向けて、まさに現在進行形であるデジタル庁の創設とDXの司令塔として今後どのような政策を進められるかについてお話いただきました。コロナ禍に顕在化した日本のデジタル化の遅れを取り戻すべく、その役割が期待されるご講演となりました。
写真② 内閣官房IT総合戦略室 髙田参事官補佐
基調講演は、金沢大学学長補佐(研究・社会共創推進担当)/医薬保健学総合研究科 教授の米田隆氏より「生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容」(米田氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題し、AMEDのIoT等活用行動変容事業で実施されているIoTデバイスを用いた生活習慣病患者への介入の実証研究を中心に、コロナ禍で大きく変わった社会において必要となるデジタル医療についてお話いただきました。AIやVR等最先端技術を活用したデジタル医療がこれからの時代に必須となるという「未来型健康増進・医学」は、まさに新しい社会の到来を感じるものでございました。
新しいデジタルデバイスという観点では、株式会社シェアメディカル 代表取締役 CEOの峯氏から「デジタル聴診器ネクステートが目指すWithコロナ時代のイノベーション」(峯氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題したご講演をいただきました。何百年も変わらなかった「聴診器」をデジタル技術によって大きく生まれ変わらせ、新しい診療のあり方や、医療の質の向上、さらには教育へと展開されるだけでなく、コロナ禍の「新しい生活様式」への対応でさらなる普及拡大が予想されるものでした。
写真③ 金沢大学 米田学長補佐
写真④ シェアメディカル 峯CEO
休憩をはさんだ後半の4講演は、弊社アクセシビリティ研究会のメンバーからの講演となり、訪問看護などの在宅ケアサービスを提供しているケアプロ株式会社 代表取締役社長 川添高志氏からは「『新しい日常』に対応した在宅ケアへの転換」(川添氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題し、新型コロナウイルス感染拡大にどのように対応して事業を継続してきたか、最前線でのご経験をICT活用を含めてお話いただきました。外出自粛により健康状態が悪化する利用者をサポートするための同行ケアや出張によるフレイル検査の提供等の新しい取り組みは、Withコロナの実現を感じさせられました。
続いて、金城学院大学薬学部 教授 千田一嘉氏からは「ACPによる人生の最終段階における意思決定とICTツール活用」(千田氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題して動画にてご講演いただきました。日本では、海外諸国に比較して新型コロナウイルスによる死者数を非常に抑えることができていますが、死を身近に感じたという意味では非常にインパクトの大きいものでした。希望する死を迎えるためのACPの重要性とそれを関係者の間で共有するためのICTツールの必要性を示唆いただきました。
弊社主幹研究員の遊間和子からは、「デンマークの行政DXにおける1回限りの原則(Once-only principle)」(遊間のプレゼン資料はこちらをクリックください)が報告されました。コロナ禍においては、特に、国、都道府県、市町村の間での情報連携ができていないことが明らかになりました。情報化先進国のデンマークでは、公共部門において一度入力されたデータは、他の公共部門において、市民や企業に対して同じデータを要求することはできず、システム自体からデータを取得し再利用する「1回限りの原則」が進められており、わが国のデジタル化を進め、サイロ化を回避するためにも重要な考え方であるとの指摘がされました。
写真⑤ ケアプロ 川添社長
写真⑥ 東洋大学 山田名誉教授
最後に、アクセシビリティ研究会の主査でもある東洋大学名誉教授の山田肇氏から、本日のシンポジウムでのスピーカーからのご発表もふまえ、アクセシビリティ研究会での2020年度調査研究活動からの提言(山田氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)をご報告いただきました。
シンポジウムの最後は、弊社代表取締役社長の民長よりご挨拶をさせていただき、閉会となりました。
スピーカーとプログラム
14:00 | ご挨拶 | 株式会社国際社会経済研究所 理事長 石黒 憲彦 |
14:05 | 特別講演 「デジタル改革推進とデジタル庁創設」 |
髙田 祐人 内閣官房IT総合戦略室デジタル改革関連法案準備室 参事官補佐 |
14:25 | 基調講演 「生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容」 |
米田 隆 金沢大学学長補佐(研究・社会共創推進担当)/医薬保健学総合研究科 教授 |
15:05 | 講演① 「デジタル聴診器ネクステートが目指すWithコロナ時代のイノベーション」 |
峯 啓真 株式会社シェアメディカル 代表取締役 CEO |
(休憩10分) | ||
15:35 | 講演② 「『新しい日常』に対応した在宅ケアへの転換」 |
川添 高志 ケアプロ株式会社 代表取締役社長 |
15:55 | 講演③ 「ACPによる人生の最終段階における意思決定とICTツール活用」 |
千田 一嘉 金城学院大学薬学部 教授 |
16:15 | 講演④ 「デンマークの行政DXにおける1回限りの原則(Once-only principle)」 |
遊間 和子 株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員 |
16:35 | 講演⑤ 「ヘルスケアにおける最先端技術の活用とDX-アクセシビリティ研究会調査研究よりー」 |
山田 肇 東洋大学 名誉教授/アクセシビリティ研究会主査 |