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IISEシンポジウム「パーソナライズ化を促進するデジタルヘルス」開催報告

2023年3月27日

   新型コロナウイルスの感染拡大によりオンラインでの開催が続いておりましたIISEシンポジウムですが、政府の規制緩和を受け、3年振りに会場にお客さまをお迎えし、またオンラインからも多くのお客様にご参加いただく形で、約100名の皆様にご参加いただきました。 

   シンポジウムは、弊社代表取締役社長の松木俊哉からのご挨拶で始まり、基調講演として、経済産業省 商務情報政策局商務・サービスグループ ヘルスケア産業課長の橋本泰輔氏から「デジタルが変えるヘルスケアの未来」(橋本氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題し、新しい健康社会の実現に向けて、医療・健康づくりの目指すべき方向と経済産業省のお取り組みについてお話いただきました。未来のライフスタイルはデジタルで大きく変化し、パーソナライズすることにより行動変容を促進していく姿を具体的なイメージとすることができました。そのためには、「医療・健康づくり」と「日常生活」の一体化を進めていくための基盤の整備が必要であり、PHR(Personal Health Record)の重要性を改めて認識させていただくご講演でした。

写真① 代表取締役社長 松木からのご挨拶

写真② 経済産業省 橋本課長

   続いて、花王株式会社 エグゼクティブ・フェローで、株式会社Preferred Networks PFNフェローでもいらっしゃる丸山宏氏より「仮想人体生成モデルとライフケアの民主化」(丸山氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題し、花王とPFNで共同開発された仮想人体生成モデルをご紹介いただきました。血圧や生活習慣など多様なデータで訓練された仮想人体生成モデルは、ひとりひとりの状態に合わせたリスクを提示するだけでなく、計測技術や既存のヘルスケアサービスのコネクタなどの部品をデータで結びつける「糊」としての存在となり、ライフケアの民主化へとつながっていくとのお話は大変刺激的な内容でした。

写真③ 花王 丸山エグゼクティブフェロー

写真④ NEC 安東プロフェッショナル

企業のお取り組みとして、NEC コーポレート事業開発部門事業開発統括部Lifestyle Supportグループ プロフェッショナルの安東正貴氏からも「歩行センシング・ウェルネスソリューション-意識せずに健康でいられる世界へ」(安東氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題してご講演いただきました。歩行と健康には深い関係があり、毎日無意識に履く靴を健康チェックのデバイスとすることで、「毎日が健康診断」となるだけでなく、将来的にはリハビリなど医療分野への応用も期待されるとのことでした。

弊社主幹研究員の遊間和子からは、「デンマークにおける終末期の希望の電子的共有」(遊間のプレゼン資料はこちらをクリックください)が報告されました。欧州では、パーソナライズ化されたケアの範囲は、終末期にまで広がってきており、本人の意思決定の結果は、デジタルの形で関係者間に共有され、死を迎える段階においてもきちんと反映される仕組みが構築された国々もでてきています。ここでは、デンマークの先進的なDXの状況に加えて、「治療意思登録システム」について詳しくご紹介しました。

写真⑤ 国際社会経済研究所 遊間

写真⑥ 東洋大学 山田名誉教授

   最後に、アクセシビリティ研究会の主査でもある東洋大学名誉教授の山田肇氏から、「デジタルヘルスと国際標準化」(山田氏のプレゼン資料はこちらをクリックください)と題し、この分野での国際標準化の動向と参画の重要性が指摘されました。また、アクセシビリティ研究会の2022年度調査研究報告の概要もご報告いただきました。

 

   シンポジウムの最後は、弊社調査研究部長の天谷健一よりご挨拶をさせていただき、閉会とさせていただきました。

 

■2022年度「パーソナライズ化を促進するデジタルヘルスに関する調査研究報告書」はこちら→https://www.i-ise.com/jp/information/report/pdf/rep_it_202303e.pdf をクリックして下さい。

 

スピーカーとプログラム

14:30 ご挨拶 株式会社国際社会経済研究所  代表取締役社長 松木 俊哉
14:35 基調講演
「デジタルが変えるヘルスケアの未来」

橋本 泰輔
 経済産業省 商務情報政策局 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課長

15:05 講演1
「仮想人体生成モデルとライフケアの民主化」

丸山 宏
 花王株式会社 エグゼクティブ・フェロー/株式会社Preferred Networks PFNフェロー

(休憩15分)
16:00 講演2
「歩行センシング・ウェルネスソリューション-意識せずに健康でいられる世界へ」

安東 正貴
 日本電気株式会社 コーポレート事業開発部門事業開発統括部Lifestyle Supportグループ プロフェッショナル

16:30 講演3
「デンマークにおける終末期の希望の電子的共有」
遊間和子
 株式会社国際社会経済研究所 調査研究部 主幹研究員
17:00 講演4
「デジタルヘルスと国際標準化」
山田肇
 東洋大学 名誉教授/アクセシビリティ研究会主査
17:30 閉会 株式会社国際社会経済研究所 調査研究部 部長 天谷健一