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AIによるサイバー攻撃と防御の進展と国際関係に関する調査研究
2018年4月~2019年3月
【執筆・担当者】
土屋 大洋(慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授)
小宮山功一朗(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート 研究員)
張 力(中国現代国際関係研究院 院長補佐)
唐 嵐(中国現代国際関係研究院 サイバーセキュリティ研究所所長代行)
原田 泉(国際社会経済研究所 主幹研究員)
小林 憲司(国際社会経済研究所 主任研究員)
サイバーセキュリティ関連で最近もっとも注目されているのがAIの活用である。AIとして広まっている機械学習の中でも、大きな技術的ブレークスルーとなっているのが深層学習である。AIが大量のデータを基に自ら学習する深層学習を行うことで攻撃の技術や手口の水準が自動的に上がり、また、マルウェアの構造に関しても深層学習を用いたAIによる分析で、データ内の注目すべき点となる特徴量を数多く抽出し、その分析から有意な知見が生み出されるのである。
一方、AIの悪用により、大規模かつ正確で効果的な攻撃が可能になり、電子的、物理的、政治的な脅威をもたらすとも考えられ、人間の代わりにAIを使うことで、サイバー攻撃に必要なコストが引き下げられる可能性もある。
本年度の調査研究ではこのような状況を鑑み、サイバーセキュリティの攻防におけるAI利用の最新事情を調査するとともに、その及ぼす国際関係について調査し、我が国の今後行うべきサイバーセキュリティへの対応を考察した。調査研究にあたっては、中国現代国際関係研究院ならびに慶応義塾大学からも参加いただき、広い視野での調査を実施した。
調査研究の一環として、2018年9月3日には北京の現代国際関係研究院で担当者による中間検討会を行い、2019年2月20日には最終検討会として東京でIISE/CICIRサイバーセキュリティ共同研究シンポジウムを開催し、情報発信も行っている。